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2021年5月21日以前の記事です。
2018.08.16
東欧のルーマニア、クロアチア、ポーランドを7月下旬、訪問した。
ルーマニアではメレシュカーヌ外務大臣を表敬訪問したほか、日本の円借款も入れて建設する予定の、地下鉄6号線の「東京駅」(ルーマニアの地下鉄総裁の粋な計らいで日本名を付けてくれた)予定地や日本の支援で修復できた日本庭園、国立美術館のアジア部門にJTインターナショナルの寄付をもとに、裏千家の方々のお力添えなどで作られた茶室などを視察した。
ルーマニアはチャウシェスク独裁政権が1989年12月に倒れた後、2007年1月にEUに加盟した。
私はちょうどEU加盟前後に外務大臣政務官として同国を含むヨーロッパを担当しており、日本の支援の最後として地下鉄の建設支援に関わっていたことがある。(EUに入ると日本からの新たなODAは出せない)
この「東京駅」は、首都ブガレストの都心と、国際空港を結ぶ路線であり、「東京駅」建設予定地の周辺には、イケア(スヴェーデンの家具店)の大きな店舗や、ドイツその他外資系の企業が入るオフィスビルもあり、道路の混雑解消に役立つと思う。
日本庭園は世界各地にあるが、維持管理が難しく惨めな状況になっているところがかなりある。石井喜三郎大使は、国交省都市局の予算で、破損などの目立つ海外の日本庭園を順次改修支援するための仕組みを作った。
ブガレストの日本庭園では改修後、桜の木々の下で地元の人たちもお花見を楽しむようになった。
独裁政権のチャウシェスク大統領は、国民を飢餓に近い貧困に陥れながら、農産物を輸出したり、立派な建物を建て続けたりした。最後は、共産党本部のバルコニーで演説をして群衆からそれまでにないブーイングを受けたため、屋上から夫人とともにヘリコプターで脱出、別の場所で処刑された。
チャウシェスク大統領が日本円にして約1500億円を投じて作らせたという床面積約33万平方メートルの大宮殿を見学した。彼自身が処刑されたため、この宮殿を使ったことはなく、未完成に終わっている。世界の宮殿や国会議事堂、首相官邸などの建物の中では、米国国防省ペンタゴンに次ぐ大きさだという。
現在「国民の館」という皮肉な名前で公開されている。
一部は国会議事堂として使用されている。
宮殿内部は、天井、壁など金の装飾だらけ。また、大きな柱に白、黒、ピンクなどの大理石が、ルーマニア全土から集められた。
絢爛豪華な建物を、飢餓にあえぐ農民が建設したのかと思うとぞっとする。
同国は人口約2000万でGDPの伸びも悪くないが、若い人たちが特にイタリアやスペイン、最近では英国、ドイツに流出しているのが悩み。
ルーマニアは紀元前2世紀の初め、ローマ帝国の属州となり、ラテン化していった。ルーマニアという名前もローマに由来し、言語がイタリアなどに近いため移住しやすいのだという。
EUに入り、移住の自由が生まれたことの功罪ともみられる。
IT技術者を国内に留めるため、最近、IT技術者は特別に所得税をゼロにした。