話題のトピックについて、詳細に触れています。
2021年5月21日以前の記事です。
2020.01.24
中2の英語の授業で、黒板に書かれた「No Japanese」の文字にびっくりした。
自民党の「大学入試英語WT」とともに、都の英語教育推進校である都立両国高校と附属中学校(墨田区)を視察。
両国高校は芥川龍之介も通った地元の伝統校。英語は中1最初の授業から日本語を全く使わず英語で聞き、考え、話す。
中2と高1の授業を視察した。中2では「What is your favorite time ofyear?」(1年で1番好きな時期はいつですか)という設問について、周りの生徒と話す。
「秋が好きだけれど、昨年は台風が多くて嫌だった」
「12月半ばが好き。学校も終わり、クリスマスやお正月など楽しみが多い」とか。
また、先生の単語の音読のもと、基礎的な英単語を猛烈なスピードで口に出して覚えていた。
高1では一つのテーマについて、クラス全員が、それぞれ知っていることを発言して「Mind Map」を作る。当日のテーマは南アフリカ初の黒人大統領「ネルソン・マンデラ」。
“He fought for human rights.”
” He won the Nobel Peace prize.”
など、生徒が思いついたことを、次々に述べた。一人ずつ電子辞書をもち、いくら調べてもOK。
全員が立ってスタート。発言すれば座っていく。後半は追いつめられてくるが、”He is a man.”というのも出て、私は、あ、それもありかと納得。
その後、4人のグループをつくり、教室4カ所に貼ってある英文を段落ごとに担当して記憶、要約して、プリントに書き込み、ストーリーを完成させる。先生は海外在住経験のある日本人教員とJET-ALT(外国人指導助手)の2人で、早口の英語で生徒を笑わせ、授業を楽しく盛り上げていた。
最後に、高校1年生の7人及び、英語の先生、校長先生らと衆参議員5人で意見交換をした。
そこで、マンデラは予習なしの初見のテーマだったことを知り、驚いた。ただ、英語の本を読んで英語でビブリオバトルをする授業で「ネルソン・マンデラ」を取り上げた生徒がいたことからクラス中が予備知識をもっていたという。
英語圏の国に10か月間、高校生が留学する東京都の制度があり、同校は毎年約10人が留学している。
カナダからの留学を終え、帰国後は学年を1つ下にずらした女子生徒や、今週末からニュージーランド、オーストラリアに旅立つ生徒もいた。また、中3でほぼ全員が、夏休みに10日間、アメリカのユタ州にホームステイする。
一般公立中から両国高校に進んだ男子生徒は、「中学のときは英文和訳が中心だったから、最初はびっくりしてついていくのが大変だった。でも、他の生徒たちが助けてくれて、2か月もしたらこの授業に慣れた。」と話した。
英語教育は、かつて私が中学・高校生の頃は、発音記号がむしゃらに覚えるという無意味なことをしたり、英文和訳と和文英訳一辺倒だった。そして、英語圏の国に数か月以上滞在しなければ、英語を自在に聞き取り、そのまま英語で考えて話すことは無理と思っていたが、この視察の結果、優秀な先生が、日本語無しの授業を続け、知的好奇心が旺盛な若い世代がそれを楽しんでいけば、帰国子女でなくても十分可能だと知った。入試問題がどんなかたちであれ、彼らの社会に出てからの活躍が楽しみだ。