話題のトピックについて、詳細に触れています。
2021年5月21日以前の記事です。
2021.03.02
「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」が1日スタート、私もその一員になりました。「児童・生徒などにわいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせない」ための立法を目指します。読売新聞が2日の1面トップ記事にし、3面にも詳しく解説を載せています。
私たちは、さらに、教員以外の子どもにかかわる職場(放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、保育園、ベビーシッター等)で働く際に、性犯罪歴がないことの証明書を求める仕組みを作りたいと考えています。
現在の教員免許法では、わいせつ行為で懲戒免職となり、教員免許が失効しても、3年たてば再取得が可能であることが問題の原点です。
同法では「禁固以上の刑に処せられた」場合も再取得はできませんが、刑法で「(殺人などの重大犯罪を含め)刑期終了または執行猶予期間終了後10年たったら、刑の効力を失う」(元受刑者等の人権擁護と更生が目的です)と定められており、刑法の規定の方が上位に立ちます。
萩生田文部科学大臣が昨年末、免許失効の欠格期間を無期限に延長するための教員免許法改正案の提出を断念した際も、記者会見で刑法のこの規定を理由に挙げました。
もちろん、私も一般論としては、「罪を償った人の人権を守り、定職について更生を果たしてほしい」と考えますが、子ども(児童・生徒)に対する性犯罪(強制性交、強制わいせつなど)は、再犯率が高く、㈰犯罪歴の種類をこれらに限ること㈪つけない職業を教員など子どもにかかわる職業に限ることに絞って、制限をかけることは、子どもたちの安全安心のために必要だと思います。
また、子どもたちと日常的に接する仕事につかないことこそ、その人の再犯防止、すなわち更生にも役立つと思うのです。
一般国民(私を含む)の感覚と、「法の世界のルール」がずれている場合、これまでも、犯罪被害者基本法や児童虐待防止法など、議員立法によって打破した経験があります。そこで、このWTを作り、議員立法で対応しようというわけです。
WTは馳浩元文科相(自民)と、浮島智子衆議院議員(公明)が共同座長を務め、メンバーは21人。柴山昌彦元文科大臣や、法務大臣経験者として、私や森まさこ前法相が入りました。
文科省は、この問題について、ここ数年、国会で何度も質問されたのを受け、法改正に至らぬまでも、次善の策は講じました。都道府県や政令指定都市の教育委員会は、懲戒免職にした教員を官報に載せることになっており、文科省は、それをリスト化し、教委や国公立・私立校が教員を採用する際、見ることができますが、従来、3年間しか見ることができなかったのを、今年4月からは40年間見ることができるようにし、また、懲戒免職の事由が児童・生徒等に対するわいせつ行為であることが判別できるようにします。
もちろん、これも、教委の中には怠慢または意識的に官報に載せないところがかなりあり、万全とはいえませんが。
また、(各都道府県ばらばらの)教員採用時の書類の様式についても、「処分歴の記入欄を設けるよう要請する」と大臣が表明しました。
そもそも、文科省が各教委や国立、私立校に懲戒処分についての報告をさせ、学校だけでなく、塾や放課後児童クラブなどが職員を採用する際に問い合わせできるようにすればよいと思うのですが、文科省は「地方自治」を理由にそれをしません。
また、塾やスポーツクラブは経済産業省が所管、保育園や学童保育は厚生労働省が所管など、まさに縦割り行政の弊害もあります。
英国などでは、子どもに関わる仕事に就く際、政府の担当部局に犯罪履歴を照会すると、求職者に無犯罪証明書が発行される仕組みがあります。求職者はその証明書を採用者に提出することが義務付けられているということです。
日本の場合、犯罪履歴は、法務省が戸籍のある市区町村に通知。それを照会できるのは、官公庁が法律に基づく資格の欠格事由に関して問い合わせる場合だけです。
これ以外に、欧米やオーストラリアなど、いくつかの国が自国に定住したり、ビジネスを始めたりする人について、無犯罪証明書を日本の外務省に要求することがあり、これに応じて外務省は警察庁を通じて、当該人物の本籍地の自治体から情報を入手し、外国政府に提供しています。
外国人の安全を守るためだけに無犯罪証明書を出すのはおかしいので、日本の子どもたちを守るために、無犯罪証明書を出す仕組みを作っていきたいと考えます。
昨年、懲戒免職となった全国の教員は153人で、自校の生徒や卒業生などにわいせつ行為を行った教員は約8割の121人に上ります。