衆議院議員 松島みどりブログ

話題のトピックについて、詳細に触れています。

2021年5月21日以前の記事です。

東京電力福島第一原発事故からの環境再生に向けた取組を視察(福島県における放射線物質汚染対策等に関する実情調査)

2018.04.16

東電・福島第一原発事故の被災地である福島県双葉町の帰還困難区域と、大熊町を4月11日、衆議院環境委員会(私が委員長)が視察した。

両町は、ほぼ全域が「帰還困難区域」放射線量が高く、避難指示が継続している区域で、町役場はそれぞれ、いわき市と会津若松市に置かれている。今回視察したのは、双葉町で「特定復興再生拠点区域」5年を目途に避難指示の解除により住民の帰還を目指す区域と、同大熊町の中間貯蔵施設など。

まず、福島駅から双葉町に向かった。途中、この3月に開通した「相馬福島道路」(自動車専用道路)を通った。さらに、常磐自動車道を南下していくが、一部、帰還困難区域内を通ることになった。車は通行させるが、人や自転車は通さない。道路の左右に人が入らないよう、警備の人があちこちに立っていた。

国道6号線から双葉駅前の市街地に入っていく。ここにはゲートが設置されており、工事車両や事前に申請した者以外立ち入れないようになっている。
道中、崩れたまま放置された家屋や道路もあった。ここ、帰還困難区域は、一部を除き、震災直後から手つかずのようだ。

「特定復興再生区域」の双葉駅前に到着した。この日は月命日であり、まず海の方向を向いて、一同で黙祷を捧げた。
双葉町の金田副町長から復興計画について説明を受けた。

法律に基づき、双葉駅周辺を中心とした約560ヘクタールを「特定復興再生拠点」とし、除染・廃棄物処理、道路や上下水道などのインフラ整備等を進めていくそうだ。

公営住宅なども整備し、ゆくゆくは拠点区域に2000人程度が居住することを目標としているとのこと。なお、JR常磐線は平成31年度末までの運転再開を目指して整備が進められている。

工業団地、ショッピングセンター、公営住宅などと描かれたプラン図を見た。実際に何人が戻ってくるかわからない状況の中、進出してくる工場もどこで誰を何人募集、採用するのか、ショッピングセンターに入る店舗もどれだけの客を見込んで出店するのか。まさに「ニワトリと卵どちらが先か」の状況で、大変むずかしいと関係者らも頭をいためている。

町民が以前に住んでいた、場所や家に戻れるというわけではない。7年という年月により、小学校に入る前に被災した子も、今では中学生になっているのだから、今さら生活基盤を変更できないという家族もいるだろう。

一方、お年寄りで帰還を望む方は多い。しかし、病院や老人ホームが必要になり、医療職、介護職の確保もむずかしい問題となるだろう。

双葉町金田副町長より説明を受ける

双葉町金田副町長より説明を受ける

その後、現在、除染作業を行っている「双葉北小学校」へ。ここでは、現場の方から、除染の工程、作業内容等について説明を受けた。この日は校舎の窓のふき取り、校庭の草木の除去などの作業を行っていた。いずれも作業は人力である。

校庭や農地など平坦な土地の除染は、厚さ5cm程度の土地をはぎ取る。なお、この小学校は地震の前月に耐震工事を行っており、また海からも遠いことから一人の児童も犠牲にならなかったことを聞き、ほっとした。

除染作業について説明を受ける

除染作業について説明を受ける

除染作業の様子

除染作業の様子

 

 

 

 

次に大熊町の中間貯蔵施設へ。中間貯蔵施設は大熊町・双葉町にまたがるおよそ1600ヘクタールで、整備が進められている。ここで大熊町の吉田副町長も合流。

両副町長からは、「復興・再生」期間終了後の復興財源の確保、町役場への人的協力の拡大、中間貯蔵施設への除去土壌等の安全な輸送についての要望を受けた。

意見交換会の様子

意見交換会の様子

 

 

 

 

 

続いて、ヘルメット、マスク、手袋を着用し、中間貯蔵施設を視察。「受入・分別施設」と「土壌貯蔵施設」で構成される。

「受入・分別施設」では、県内各地から運ばれてきた除染ゴミの黒いバッグを集め、袋を破いて中身を分別する。

施設は大きなテントのような形となっており、重機、ベルトコンベアや大きな回転ふるいを用いて土壌と石、廃棄物などを選別する作業を行っていた。

受入・分別施設内の作業の様子

受入・分別施設内の作業の様子

次に「土壌貯蔵施設」を視察した。地面を5メートルほど掘り下げ遮水シートを敷き、そこに土壌を敷き詰めていく。最終的には地面よりもさらに5メートル積み上げ、汚染されていない土壌で遮蔽した上で、さらに遮水シートを敷いて保管する。

 

土壌貯蔵施設について説明を受ける

土壌貯蔵施設について説明を受ける

土壌貯蔵施設の様子2

土壌貯蔵施設の様子2

土壌貯蔵施設の様子

土壌貯蔵施設の様子

 

 

 

 

視察の最後に、靴の裏及び車両に放射性物質が付着していないか確認(スクリーニング)を行った。