衆議院議員 松島みどりブログ

話題のトピックについて、詳細に触れています。

2021年5月21日以前の記事です。

相続した不要な土地を国有化してもらえる制度を創設

2021.02.17

 「相続した土地が負担になっている。手放したい」という国民が増えていることから、条件付きで国に所有してもらえる制度を創設する「相続土地国庫帰属法案」が、今国会に提出される予定です。

 「建物がない」「土壌汚染や埋設物がない」土地であることが条件。「山林」の立木は問題ありません。
 相続した土地に限ります。自分が購入して不要になった土地は該当しません。

 申請を受けた法務局は、財務省や林野庁などの協力も得て審査し、承認します。申請者は10年分の土地管理費相当額(土地の種目や面積などに応じて政令で規定)の負担金を納付し、土地は国庫に帰属します。ちなみに現在の国有地の標準的な管理費は、粗放的な管理ですむ原野なら20万円、市街地の宅地(200?)は約80万円となっています。

 私がこの問題に関心を持ったのは5年ほど前、地元、墨田区の女性が「亡くなった夫の財産を点検したら、私が行ったこともない、夫の祖先の東北の広い山林が含まれていた。固定資産税は安いから、かまわないけれど、災害にでも関係したら気持ち悪い。国に、もらってもらうことはできないのかしら」と相談されたのがきっかけです。

 当時、調べると、地方自治体に寄付することは制度上は可能ですが、ほとんどの自治体が拒否しているようでした。
 相続税として物納することも事実上、不可能でした。それどころか、土砂崩れなどが起きて人に危害を与えたら、損害賠償の対象になりかねません。彼女の心配の通りでした。
 
同世代の友人との会合でも「親のルーツの山陰に広い敷地と立派な蔵が複数あり、壊すのも大変」とか「『長男だから田舎の山林を譲ってやる』と父に恩に着せられたが、大迷惑」とかいった話題となり「相続した(する)土地」についての悩みを持つ人は結構いるものだ、と知りました。

 地方では、より深刻な問題になっています。
 土地白書(平成30年度版)によると「土地所有について負担を感じたことがある、または感じると思う」人が42%にのぼり、また、昨年の法務省調査でも、土地を所有する世帯のうち約20%が、土地を国庫に帰属させる制度の利用を希望しています。
 こうしたことから、相続によって、望まずに取得した土地が管理不全になること、将来的に所有者不明土地の発生を予防する新制度を創設することになりました。

 今国会で法律が成立すれば、公布から2年以内に施行します。