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2021年5月21日以前の記事です。
2016.01.24
24日行われる介護福祉士試験で初めて、結婚などにより日本に住んでいる外国人受験者向けに、問題文の漢字に平仮名のルビがふられる。墨田区の日本語教育ボランティアたちの熱意を受けて平成27年2月13日私が塩崎厚労相、永岡けいこ厚労副大臣(当時)に申し入れ、実現させたものだ。「すみだ日本語教育支援の会」関係ではフィリピン、タイから来て日本人と結婚した女性7人が受験するという。
従来、EPA(経済連携協定)に基づく制度でフィリピン及びインドネシアから日本に来た人については両国政府の要請により、ルビ付き問題が出されていた。かつて「実技がわかっていても、難解な漢字が読めなくて試験に受からないのはおかしい」と国際問題になった結果だ。
その一方で、日本人男性と結婚して在留資格があるフィリピンなど出身の女性たち(まだ日本国籍でない人と、すでに日本国籍の人と両方いる)は、昨年まで漢字の試験を受けさせられていた。
彼女たちの多くは、日本人の夫の間に子どもがいるし、日本語の会話には不自由しない。また、すでに介護現場で働いているケースも多いが、漢字の試験はたいへんで、指導に当たっているボランティア女性が私のところに飛び込んできたのだ。彼女たちと当事者であるフィリピン出身受験生と一緒に昨年春、永岡副大臣を訪問。役所の入り口で偶然会った塩崎大臣の大臣室にも押しかけ、要望した。
両者の試験における待遇の違いは、塩崎大臣も永岡副大臣も知らなかった。役人たちは差異に気づきつつ、放置していたのだった。大臣の「松島さんの言うように、EPA組と同じようにふりがなをふれば、いいじゃないか。むずかしい漢字で苦労させなくても」の一言で方向が決まり、永岡副大臣がその後をしっかりフォローしてくれ、昨年7月、平成28年1月の試験からと実施要項が定められた。
今、介護福祉士不足は深刻で、外国人労働者の受け入れの是非が議論されている。まずは、日本に住み、日本語会話や日本の慣習に通じている彼女たちに漢字の壁をなくして資格を取りやすくし働いてもらうのがいちばんいいと思う。ましてや、彼女たちの稼ぎは、日本で育つ子どもたちの養育費にも当てられるのだから。中には、日本人の夫と離婚し、日本で生まれた子どもを1人で育てているフィリピン出身者もいる。
厚労族ではない私と、純粋で情熱あふれるボランティア女性のコンビで実現させた、この一歩。大きな一歩になってほしい。