話題のトピックについて、詳細に触れています。
2021年5月21日以前の記事です。
2016.11.04
衆議院の外務委員会で2日「気候変動に関するパリ協定の締結承認」について与党を代表して質問した。質問時間の割り当てはわずか10分。協定の内容を評価した。「日本の先進的な省エネ技術の9途上国への移転が国際貢献にとって重要な使命」とし、「ODAは相手の国の政府や国民にわかりやすい2国供与中心で」「今後のルール作りで、日本が活用しやすい形の二国間クレジット制度になるよう頑張っていただきたい」「日本の極めて高効率の石炭火力発電も活用すべき」などと主張。4問とも岸田外務大臣自身が答弁してくれた。
なお、全党賛成で同日、外務委員会で採決された。
質問は以下の通り。
パリ協定は、世界最大の温室効果ガス排出国である中国や、京都議定書を批准しなかった米国、今後大幅な伸びが予想されるインドなど途上国を含む、すべての国が参加する初めての枠組として、大変重要な意味があると考えます。
日本にとっては、先進的な省エネ、環境対応の技術を途上国に移転させることこそ、国際貢献の重要な使命です。都市鉄道、電力、物流、防災インフラといったハードと、製造業の省エネ化、車や工場の排気規制といったソフトの両方があります。
安倍総理はCOP21首脳会合で「美しい星への行動2.0」として、途上国支援とイノベーションの2つ貢献を表明されました。
途上国支援は2020年までに、年ベースで「官民合わせて約1兆3000億円」、現在の1.3倍にするとしていますが、岸田大臣に提案、質問があります。
【質問1】ODAについては、国際機関への拠出を減らし、「相手国の政府や国民に、日本の支援と分かりやすい2国間供与を基本」としていただきたいのですが、どうでしょうか。
9月初めにミャンマーのヤンゴンに行き、道路の渋滞が激しく交通事故死も多いことに驚きました。日本は、地球温暖化防止にもつながる交通分野での協力として、鉄道の環状線にJR東日本の古い車両を供給しているのですが、車体にも車内にも日の丸とミャンマーの国旗が描かれており、日本人だということで乗客たちにも好意を寄せられた。第2の都市マンダレーとの間の鉄道も日本の協力で整備しますが、きっと、そこにも日の丸が登場するでしょう。また、ヤンゴン川河口の両岸を結ぶ、日本が供与した通勤通学用のフェリーにも日の丸が描かれ、改札では「日本人は運賃無料です。日本がくれた船ですから」と言われました。
ベトナムでは親日が高じて、日本語が英語とともに小学校の第一外国語になり、まずハノイで授業が始まりました。ハノイの紅川(ホンがわ)に日本の援助で架けた橋は「日越友好橋」と親しまれているし、ホーチミン市中心部にある地下鉄1号線の建設現場には「JAPAN ODA」と目立つ表示があります。2国間支援だからこそ、親日感の醸成に役立つのではないでしょうか。
【質問2】次に、ODA全体に占める地球温暖化対策の比率を目標値として掲げてはどうでしょうか。国民は一般に、ODAに対し、「自分たちの税金を外国にばらまいている」という印象を抱きがちですが、温暖化対策なら、日本を含む全人類の課題への対策費として国民の共感を得やすいでしょう。
【質問3】イノベーションについて、総理は「日本は2国間クレジット制度などを駆使することで、途上国の負担を下げながら、画期的な低炭素技術を普及させていきます」と演説しました。
パリ協定は具体的な枠組み、ルールを今後、詰めていくわけですが、ぜひ、
日本が活用しやすい形の二国間クレジット制度のルールになるよう頑張っていただきたい。
【質問4】そして、日本の極めて高効率の石炭火力発電も活用すべきです。
私は2年前に経産副大臣として、ポーランドで、日本企業の高効率の石炭火力発電の宣伝をしてきた。すでに、超々臨界圧(USC、Jパワー磯子タイプ)の発電所はポーランドに建設中で来年12月に運転開始するが、さらに発電効率の高いIGCC(石炭ガス化複合発電)も2023年を目標に導入が検討されている。石炭産出国であり、30年以上前の社会主義体制下で建設された古い発電所の更新が、経済発展のためにも温暖化対策としても重要なのです。
日本でもIGCCはまだ、いわき市に実証炉があるだけ。2020年に世界最高効率の大型炉が商業運転を開始するという段階ですが、こうした最新技術を今後、いちはやく諸外国に供与していくことは、非常に有意義です。
「石炭火力は悪」というような欧米諸国の風潮があったが、OECDでも、昨年11月、超々臨界圧は大型機を含めてすべて、輸出信用の供与が可能と認められた。
このことを踏まえ、2国間クレジット制度及び、途上国支援の中にも位置付け、世銀・IMFグループにも働きかけるべきだと考えるが、大臣の考えをお聞かせいただきたい。
日本政府としてベトナムやタイ、インドまた、G7で支援を決定したウクライナへも高効率石炭火力の採用を目指していくようだが、成功を願う。